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子どもの心理的混乱

行動の変化

入院に対する子どもの反応はさまざまであり、否定的な反応だけでなく肯定的な反応も起こることがあります。反応は広範囲に及び、また入院中だけでなく退院後に家庭に戻ってから表面化してきます。子どもの心理的混乱として次のような行動の変化が現れます。

  1. 状況に対してあからさまな反応として、泣き叫び、投薬や処置への抵抗、絶叫、自己破壊的、環境破壊的、泣き言を言う、両親にしがみつく、争う。
  2. 消極的反応として、過度の睡眠、コミュニケーションの減少、活動性の低下、食事量の減少。
  3. 退行行動として、睡眠パターンの変化、食べ過ぎたりほとんど食べない、歩行できていたのに歩かなくなる、お漏らし、緊張し不安で落ち着きがない、恐れを示す、自分の身体に過度に関心を持つ、脅迫行動を示す。

病気によって引き起こされる感情

自分が変わることへの不安
言語表現できない乳幼児でも、自分の体が普段と異なることは気づいている。思春期になると自分の体に対して敏感になり、病気だけでなく、治療に対しても著しく不安を高めることがある。
発達の中で得てきた能力を失うことへの不安
身体症状からの運動制限や、ベッド上に抑制されることで、自立心を発展させる環境が抑圧される。依存心が大きくなる。
不完全な自分になる不安
特に慢性疾患では、疾病の存在が自己愛や自尊心に影響し、社会生活への不適応を起す可能性がある。
親や身近な人を失うことへの不安
乳幼児期には親、学童期には友達や教師からの愛情がなくなってしまうのではないかという不安が生じる。
親から離れることによって生じる不安(分離不安)
乳幼児期には、親子分離による激しい後追い、引きこもりなどの退行現象を引き起こすことがある。分離不安が長期にわたると、特に言語と認知発達において遅れを生じることがある。
見知らぬ人とのかかわりによって生じる不安
人見知りの時期である乳幼児期後半にはこの影響が予測される。
罪悪感
幼児期には自己愛が強く自己中心的に考えるため、病気になったのは自分が悪いことをした罰だと考えることがある。
身体の一部を失うことによる不安、死に対する不安
怒りや攻撃性、抑うつ

心理的混乱を引き起こす要因

不慣れな入院環境

  • 曖昧で不明瞭な脅威(検査や処置など)がいっそう混乱させる。
  • 予測できるストレスより予測できないストレスによっていっそう混乱する。
  • 手術に対する子どもの反応は、その手術の種類や深刻さに依存するものではなく、手術から誘発される空想(身体切断、去勢不安、置き去り、処罰など)に依存します。

両親からの分離

生活すべてを両親にゆだねている3〜4歳以下の子どもではすぐに反応を示してきます。

年齢

親を重要他者として認識し始めた乳児期後半から3〜4歳ぐらいまでの子どもが入院による心理的混乱を起しやすい。

分離恐怖

幼い子供たちが病気になったり入院しなければならないとき、彼らがもっとも心配することは、両親から引き離されることです。子どもが三歳〜四歳の年齢に達すると、分離への恐怖に加えて、手足が不自由になることへの恐怖の感情が生じてきます。採血されるときに彼らは、これから手足が切断されてしまいはしないかと叫び声をあげたりもします。

そんなとき親たちが、泣かないでいい子にしていればどんなオモチャでも買ってあげるからなどと言って、彼らを買収することがよくあります。子どもは大きな声で泣きわめけばわめくほど、それだけ高価なオモチャが手に入るということをきわめて敏感に察知するものです。

子どもたちは正直に何ひとつ隠しだてなく扱われるべきであり、良い子になればオモチャを買ってあげるなどという約束などはけっしてすべきではなく、治療上の処置がからだを傷つけるような場合は、その事実をあらかじめ子どもに話しておくだけでなく、実際にどういうものかを子どもたちに見せておいたほうが良いでしょう。

これから自分たちのからだにされる治療の内容を正しく知ることができます。むろん、そうさせたからといって、彼らが注射されたり、骨髄検査が必要なときに泣かずにいられるということではありません。しかし彼らは、あなた方が嘘をつかないことを知り、すかしたり慰めたりした場合に比べ、病気が重くなった際にも、彼らはあなた方の処置を容易に受け入れるようになるでしょう。

引用
  • 小児看護  2006-5 vol.29 NO.5 / へるす出版 
    滋賀医科大学医学部看護学科臨床看護学講座(小児看護学)教授  楢木野 裕美
    元ロイヤルマンチェスターこども病院 ホスピタル・プレイ・スペシャリスト  後藤 真千子
  • 小児医療の現場で使える プレパレーションガイドブック  / 日総研出版(2006/04)
    順天堂大学医学部小児科 医師  田中 恭子
  • 新・死ぬ瞬間 エリザベス・キューブラー・ロス(著) / 読売新聞社(1985/05)
作成:2007-2-27 11:46:56    更新:2007-2-27 11:46:56
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