長期フォローアップ外来

後遺症ケアで外来開設

増え続ける小児がん経験者に対し、厚生労働省の研究班が2009年度までに、全国14カ所の病院に、治療による後遺症「晩期障害」などを診る長期フォローアップ(FU)外来を開設する方針を決めた。小児がんは今では7割が治るが、晩期障害に苦しむ例が多く、治癒後も生涯にわたって見守る体制を整える。

研究班は今年4月に発足した「小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究班」(班長、藤本純一郎・国立成育医療センター研究所副所長)。15日から仙台で始まる日本小児がん学会で方針を発表する。

FU外来が開設されるのは、国立成育医療センター(東京都世田谷区)や、静岡県立こども病院(静岡市)、東北大学病院(仙台市)や三重大学付属病院(津市)のほか、民間の病院でも日本大学医学部付属板橋病院(板橋区)など。国立成育医療センターに拠点となる長期FUセンターを設置する。静岡県立こども病院や九州がんセンター(福岡市)など6カ所は既に開設され、来年以降順次開設を進める。

研究班によると、年間2,500人前後が小児がんを発症し、成人の600〜1,000人に1人が経験者と推計されている。経験者の半数以上に成長障害、ホルモン分泌障害、心的外傷後ストレス障害など、手術そのものや抗がん剤や放射線治療による後遺症「晩期障害」がみられるという。

正確な患者数を把握するため、全国の病院に協力を求め、今年度中は登録制度も開始する。長期FUセンターには、治療終了時に登録に同意した患児の治療内容などデータを集積。将来的には登録者が晩期障害の相談に乗ってもらえるシステムを目指す。

毎日新聞 2007年12月15日 より引用

長期フォローアップ外来を開設した病院

東北
東北大学病院(宮城県仙台市)
関東
聖路加国際病院(東京都中央区)
日本医科大学付属病院(東京都文京区)
日本大学附属板橋病院(東京都板橋区)
国立成育医療センター(東京都世田谷区)
信越・北陸
新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県新潟市)
東海
名古屋医療センター(愛知県名古屋市)
静岡県立こども病院(静岡県静岡市)
三重大学医学部付属病院(三重県津市)
関西
大阪府立母子保健総合医療センター(大阪府和泉市)
大阪府立総合医療センター(大阪府大阪市)
中国
広島大学病院(広島県広島市)
九州
国立病院機構九州がんセンター(福岡県福岡市)
久留米大学病院 (福岡県久留米市)

それぞれの役割と成人医療への移行

診断に始まり、治療中、治療終了後の経過観察、治癒宣告後の長期経過観察を経て、一部の患者さんは成人医療へと移行してゆきます。治療が2〜3年あって、5年たつと一般に治ったというのですが、成人になった時点で何か晩期障害があれば、当然それは成人医療の専門の先生に診ていただくということになります。

内科の先生というのは、自立した成人を相手に医療をずっと提供しているわけで、小児科の患者さんのように支えられて未だ完全に自立していない人を診ることに慣れていない。だから、患者さんも家族も内科医の前に行くと戸惑うことがあるわけです。

内科医と小児科医は違う医療だということを認識することが重要で、それぞれの医師は違う種類の医療をやっている。その違うサービスを受けるためにはそれだけの心構えが必要です。16歳〜20歳代までの間に徐々に、成人医療に移行してゆく準備期間であるとの考え方に立って小児科医も患者さんを支えていくべきだと思うようになりました。

高校生以上になった方を今までの治療優先の考えでなくて、晩期障害を含めた様々な問題に焦点を絞った支援を始めることにしました。患者さんも成長して小児科の外来にずっと来るのは嫌な人もいますので、大人と同じように内科の外来で診たほうがいいだろうと考え、総合診療科の診療室を借りることにしました。

小児科の医者が他科の診察室を借りるわけですから、これは結構大変なことでして、いま小児がんの現状はこういうことなのだから、こういう外来がぜひ必要なので貸して欲しいと訴えて、最終的に院長の許可を得ました。

(小児がん専門医の石本浩市先生が、小児がん経験者たちのための長期フォローアップ外来を、全国に先駆け、順天堂医院(東京)に開設されました。)

長期フォローアップ外来のシステム

自分の病気は自分で理解して、一人で外来に来て、一人で自分のことを話し、それに対して一人の人間として医療者も対応することで患者さんとその家族の自立を促す。

小児がんの人たちは、二次性がんの問題や心臓の問題などがありますからセルフケアがとても大切になります。喫煙・セックス・食事の問題、二次がんを早期発見する工夫なで、色々なアドバイスをする。(晩期障害への対応、社会心理的な問題のサポート、他科との円滑な連携、健康管理教育など)

グループスタデイの立場から → JACLS 石田也寸志先生
グループとして晩期障害の前方視的把握が必要であり、データとして蓄積してゆくことが重要。本人がどういう治療を受けたかということをきっちりと書面にて渡すことを提案。こういう情報を持っていないと、主治医や医療機関が変わったときに困ります。親がいつまでもいるわけでもありませんので、そういうものがとても必要になります。
小児病棟の立場から → 神奈川県立こども医療センタ  気賀沢寿人先生
小児病院は施設の関係で成人まで診ることができないために、晩期障害や心理社会的問題の支援が十分できなかった。小児病院が抱えるこのような問題に対応するために成育医療センターができました。(成育医療とは、子ども達が健やかな成長と発達を遂げることができるように、赤ちゃんの出生前(胎児期)から新生児期、小児期、思春期から成人まで、さらには次の世代へと続いていく広く生涯を見据えた医療)。
成育医療センターの立場から → 恒松由記子先生
倫理的問題について・・・長期に渡る追跡をされることへの不快感、結婚や妊娠などの微妙なことに関する質問をされることへのストレス、情報を管理されることに対する不安、知りたくない晩期障害を知らされた、結果的に社会的な差別を受ける可能性があるかもしれないというような問題も出てくるかもしれません。きちんとデータを取って、正しい情報を患者さんに伝えていかなければいけない。