小児がんの原因

なぜ小児がんになったのか

医師は、通常、ある特定な子どものがんがどうして発生したのか、その正確な理由をあげることができないものです。理由をどうしても説明してもらいたいと思っている親にとって、それは実にいらだたしいことです。

親と子の両方ががんにうまく対処できるかどうかは、彼らがその病気が起こった原因を信じるか信じないかによって大きく左右されることが、研究の結果わかっています。研究対象となった人々のなかで、自分自身を責めている人(たとえば、遺伝によってがんができたとか、過去の過ちのせいでがんになったと信じている人々)は危機にうまく対処することができませんでした。

医師は少なくともいくつかの小児がんの原因については大まかな理解はしていますが、がんの原因よりも、原因ではないものについて話すことのほうがしばしばです。いくつかの統計学的な関連と危険因子は確認されていますが、それらが直接的原因であるとはまだ断定されていません。一つだけはっきりしていることは、がんは「伝染」しないということです。

白血病になったなった原因について答えることができる人は、誰もいません。しかし世界中で、白血病の原因を見つけようと努力しています。家族や友達などに悪いことをされたから、自分自身、前に何かしたから白血病になったのではありません。白血病になったのは、誰のせいでもないし、誰にもどうしようもなかったことなのです。

がんのリスク

がんのリスクとは、特定の因子と病気を起こす確率との間に統計的な関連があることです。発がん因子やプロモーターあるいはその両方に曝露されても、多くの人はがんにはなりません。がんの発生には多くの段階があるので、単独、単純な原因によって起こるものではありません。

イニシエーター(発がん因子)
細胞に発がんを引き起こす。細胞の成長を調節するDNAに直接影響を及ぼしたり、細胞のほかの部分を傷害する性質をもっている。化学物質、ウイルス、核反応、放射線、日光など。
プロモーター
起きたがん化を促進させる。単独では細胞のDNAを変化させられないが、DNAに変化や損傷が起こった場合、これを促進するように作用する。化学物質、胆汁酸や性ホルモンのように体がつくりだす天然の物質など
エンハンサー(強化因子)
がんの発達を促す受動的な条件となる。化学物質など

おもな危険因子

タバコ
肺がんは非喫煙者に比べ、喫煙者には20倍もの確率で発生する。タバコを吸わない人が、他人の煙を吸っても肺がん、白血病のリスクを高める。タバコの煙にはベンゼン(発がん因子)という化学物質が含まれている。
病原体
成人T細胞白血病は成人T細胞白血病ウイルスI 型(HTLV-)により起こる。エプスタイン・バーウイルス・EBウイルスは、バーキットリンパ腫に関連がある。B型肝炎ウイルスは肝臓がんの多くに関与している。エイズウイルスは、カポジ肉腫や子宮頸がんと関連している。ただし、これらのウイルスに感染したら全員ががんになるわけではなく、実際に発病するのはそのうちのわずか。
医学的治療
がんを撃退するための化学療法に用いられる薬物のいくつかは、それ自体が発がん性をもつ。エンドキサンなど。
遺伝
ある種の染色体異常をもつ両眼の網膜芽腫やウィルムス腫瘍など、ある種のがんにかかるリスクが高い。ただ、家系に備わったリスクよりも環境的な影響の方が大きいかもしれない。
放射線
広島で被爆した人たちは、そうでない人と比べて急性白血病で46倍、慢性白血病で186倍の発症率であったと報告されている。しかし、レントゲン写真を撮ったりするときに使われるのはほんの少しの放射線なので、それで白血病が起こったりすることはまずないが、蓄積すれば細胞を損傷し、その損傷が大きいときにはがんを引き起こすおそれがある。ラドンへの曝露は肺がんに関係している。
アスベスト
アスベストは明確な発がん物質である。がんによる死亡のうち、大気、土地、水の汚染と関連のあるものは1%と推測されている。
電磁波
高圧送電線周辺や屋内の磁界レベルが0.2μT以上で小児白血病、小児脳腫瘍のリスクが上昇することが報告されている(詳しくはこちら)。小児白血病の中でも急性リンパ性白血病が、日常環境の4倍にあたる0.4マイクロテスラ(4ミリガウス)以上の磁界で、発症率が2倍以上に増えることが確認された。一方、急性骨髄性白血病の発症率と磁界との関連は見られなかった。
参考