保護者に子どもの病名を伝えるべきか

退院したけど、外来治療が続く中で新学期を迎えた子。
小児がんだと告知されて治療が始まったばかりの子。
治療を終えて、元気に通っている子。

新しいクラスの懇談会が開かれる頃になりましたね。治療を終えて何も問題なければ、他の保護者にあえて話す必要はありませんが、副作用がひどい場合などは話さなければ・・・とお考え中の方もいらっしゃると思います。今日は私の経験からお話させていただきます。

保護者に話す場合

「話す」というのは、正直に病名を告げることではありません。
現在の子どもの状況から、お友だちに配慮してもらいたいことを話します。

「わが子は白血病という小児がんにかかっています。抗がん剤の治療を受けているところです」衝撃的な発言をされれば、まわりの方は戸惑うはず。正直に話す必要はないのです。急いで病名を告げる必要もないのです。重い病気で」と表現すれば十分。

悲しいことですが、「白血病=感染する」「小児がん=死」というイメージをお持ちの方がまだ少なからずいらっしゃいます。病名を伝えるのであれば、病気について簡単に説明したほうが、誤解を招くことはないでしょう。

大切なのは、どのような配慮をしてもらいたいか。
子どもが小児がんということではありません。

ここで気をつけなければならないのは、無理なお願いをしないこと。
「うちの子は感染しやすいので、みなさんのお子さんが少しでも熱を出した時は欠席してください」
こんな話は聞いたことありませんし極端なたとえですが、自分の子ども中心の考えにならないよう、謙虚な気持ちでお願いすることが大切です。

治療中で脱毛が続くなど容姿にかかわることや、感染を防ぎたい場合など、なんとか理解してもらいたいと思う気持ちが「焦り」となります。私もそうでした。何を伝えたいのか、いま伝える必要があるのか、気持ちを整理してみませんか。

まわりの人に話す前に、家族で話し合うことをおすすめします。まわりへの人へどのように・どこまで話すかということは、家族で統一させたほうがいいです。病名を知っている子どもが、友だちに話してしまうことがあるかもしれません。子どもにもきちんと話せる時間をつくれるといいですね。

話すことがすべて悪いことにつながるわけではありません。親身になって助けてくれた方はたくさんいます。何年か過ぎた頃に、知らないママさんから「元気になったんだね」と
声をかけていただいたこともありました。私が知らなかっただけで、息子と同じクラスのママさんでした。たくさんの優しさに触れることができました。悪かったことといえば、自分からまわりとの距離をつくっていったところかな。

「もし再発したら・・・」と臆病になって断り続けてきたPTA役員。今は「なんとかなる」と思い、楽しくPTA活動に参加しています。いろいろな立場の方と出会うことができました。息子の病気や障害のことを話すことがありますが、相手の反応に過敏になることはなくなりました。

息子たちの姿が、誰かの心をほんの少しでも支えることができれば、また小児がんというものへの理解につながるのであれば、「話すこと」に意味はあるのだと私は思います。

先生に話す

担任の先生には話しておいたほうがいいでしょう。

「何をしたら再発するのでしょうか?」
ただ、「先生」といっても医療知識がない方ですので、病気や治療、経過や日常生活の注意点を話す必要があります。

「私たちはどのような対応をすればいいでしょうか?」
先生方は、重い病気の子への対応に細心の注意をはらってくださいます。「特別扱い」ではなく「配慮」していただけるようにお願いすることと、学校(幼稚園)に通わせる以上、自分の子どもを特別視しないことが、子どもの楽しい学校生活を送り、友達関係もうまく形成されていくと思います。

先ほども書きましたが、先生は医者でも看護師でもありません。大勢の子どもたちを抱えるみんなの先生です。内服する薬がある場合は、どのように管理してもらえるのか、飲ませ忘れた場合はどうしたらいいのかを話し合いましょう。

「飲ませ忘れただなんて許せない!」親はそう思います。じゃあ、飲ませ忘れないためにどうするか事前に決めるのも大切です。飲ませるのに時間がかかるようであれば、その時間に親が学校に行って飲ませる必要も出てくるでしょう。飲ませる時間に学校へ電話をして確認する。給食袋にカードなど入れておき、子どもがそれを先生に出す。など方法はいろいろありますので、できることはしておきたいですね。

入園式や入学式当日は先生方が忙しく、まわりに他の保護者もいるので、この日に話すことは難しいでしょう。先生と1対1(または校長先生なども同席していただき)で話ができる
時間と場所をつくっていただくのがベスト。

今は個人情報の管理が厳しくなりましたので、先生が他の児童や保護者に病名を知らせることはないと思いますが、たまに相談メールをいただくことがあります。「先生が勝手に病名を言いふらした」と。

話を伺うと、クラスのみんなで入院した子を励ましたくて何ができるかみんなで考えていらっしゃったそうですが・・・やはり、保護者の了解なく話すのはまずいですね。

子供にも病名告知していないご家庭もありますので、そのあたりのことも含めて、病名を知っているのは誰かということ「病名は、保護者の了解なく児童・保護者には話さないでほしい」と念を押すといいでしょう。

一方的に話すだけでなく、先生方がどのような心配をしていらっしゃるのか、わからないことは何か聞いて答える時間もあるといいですね。

最後に

一旦、口から出てしまった言葉、出してしまったメールや手紙は修正や取り消しすることができません。ゆっくり、じっくり考えてから行動してください。きっとよい方向に進んでいくと信じています。

病気の子どもやそのきょうだいは、
まわりの人たちにたくさんのことを教えてくれます。
人をいたわるやさしい気持ち、そして生きるということ。
素晴らしい子どもたちの親であるという誇りをもって
私たち親も胸を張って、凛としていましょう。
そんな親の姿を見て、子どもたちの心も元気になるから。