話してよかったんだ

怖かった。
 空を見上げることが、
 誰かに触れることが、
 言葉を交わすことが、
 何もかもが、恐ろしかった。

 ひとりだったら傷つかない。
 でも、
 さびしいよ。

 だから、少しだけ頭をあげてみた。

 すると、私を呼ぶ声がした。
 声の先には、
 私のことを心にとめてくれてた人がいた。

 「すぐに声をかけられなくて、ごめんね」
 「ずっと気にしてたけど、言葉がみつからなくて」
 「私もあなたと同じことを悩んでいたの」

 こそこそと噂話をしていると思ってた、
 避けられていると思ってた、
 つめたい人だと思ってた、
 あの人たちが、
 本当は心配してくれたんだってことがわかるまでに
 3年もかかってしまった。

 

長男の学級懇談会で、
次男が白血病の治療をしているため、役員の選出から外してほしいと話した3年前。
そんなこともすっかり忘れていた私に、声をかけてくれた人がたくさんいた。

「息子さん、元気になってよかったね」
突然の言葉に驚いた。
3年前の私の話を覚えていてくれたんだ。気にかけてくれてたんだ・・・

周囲の反応を「つめたい」と感じた自分が恥ずかしかった。
みんなが私から離れていったのではなく、
私がみんなから離れていったのだと
ようやく気づいた瞬間だった。
あの時、話してよかったんだ、と思った。

作成:2009-5-6 0:00:00    更新:2011-9-2 22:03:01
戻る担任の先生への手紙(小学1年生) カテゴリートップ 進む保護者に子どもの病名を伝えるべきか

当サイトは本やインターネットから集めた情報をもとに、素人が作成しています。
また、闘病記の治療内容や検査結果等は個人により差がありますので、
必ず主治医・担当医にご相談ください。

PAGE TOP