千羽鶴

「俺たちにはこんなことぐらいしかできないけど・・・」

大きな千羽鶴を持って、バイク仲間がお見舞いに来てくれました。男5人と彼らの奥さんで、病気の知らせを聞いてすぐに完成させたというのです。

「おりがみなんて何年ぶりかな」

「ツルの折り方がわからん、ってアイツからメールあってさぁ・・・」 よく見るとへんな形をした鶴が混じっています。

「オレなんかおりがみで徹夜したよ〜。一夜漬けタイプだからさ」

「アイツ、オークションで千羽鶴が出品されてないか調べてたらしいぞ」

みんなの思いがたくさん集まった千羽鶴がとても嬉しかった。一枚のただの紙が鶴になり、それが千羽も集まると膨大なパワーを感じるのです。抱きしめると、みんなに守られているような、そして元気をもらっているような気分になるから不思議です。

彼らは病院での体験談をおもしろおかしく話してくれました。彼らと一緒にいると思い切り笑うことができます。この日も、息子が病気になって初めて、心のそこから笑うことができました。そういえば12年前も、彼らは私を支えてくれました。仲間を2人をたて続けにバイク事故で亡くし、泣いてばかりいた私を笑わせようとしてくれた彼ら。悲しみも苦しみも喜びも幸せも共に分かち合ってきた彼らは、性別は違っても「親友」と呼べる存在です。

「かずきが元気になったら、また寒中バーベキューするぞ」 そう言い残して、彼らは帰っていきました。

ほかにもたくさんのお友達が千羽鶴を折ってくださいました。久々に抱きしめたら、涙がこぼれました。皆さんのおかげで、かずきは無事に治療を終えることができました。本当にありがとうございました。

人生というのは、喜びよりも悲しみの方が多いね。ただ、悲しみというのは時間というものが助け舟になっている。時間は癒しになるんです。それでね、悲しみをともにしてくれる友だちがいれば、その悲嘆はより早く解決できると思う。一緒に悲しむということ、一緒に喜ぶというのは、それはやっぱり親しい友人とだからできることですね。友との関係というのはほんとうに素晴らしい。辛いことや苦しみ、老いの辛さをともに分かち合う。そういう友人がいることは非常に救いになると思います。

「65 27歳の決意・92歳の情熱 対談・日野原重明×乙武洋匡」より